数々の謎を含んだストーリーと、SFとコメディが程よく混ざった世界観で、すでに「このマンガがすごい!2019」のオトコ編第1位を獲得した大人気・大注目作です。
僕も1巻を読んで考察せずには居られない状態でした。
▼1巻の復習、謎や考察についてはコチラをご確認ください。
そしてついに!
天国大魔境2巻が2019年3月22日に発売となりました。
1巻で散りばめられたキルコの正体についての答え合わせからスタートした2巻ですが、学校の方は新しい謎も出てきました。
ということで、天国大魔境2巻についてご紹介します。
「天国大魔境」2巻の内容・あらすじ【ネタバレ】
第8話 竹早桐子
前回、マルがキルコに告白すると、キルコは身体は女だけど脳みそは男なんだと言って終わりました。
その続きで話は5年前に遡ります。
美人で実力もある姉の竹早桐子は電動カートレースのドライバー、弟の春希は興行を仕切る組織の下っ端でした。
その組織のリーダー格が稲崎露敏で、現在のキルコが探している1人です。もう1人の”先生”と呼ばれる人物は医者で、姉の竹早桐子が電動カートレースで落車したかすり傷を見てくれています。
しかし、”先生”は隠れて人食い研究や人体実験をしているという噂もあり・・・稲崎露敏が調べているようです。
竹早桐子・春希や仲間たちは船山孤児院で暮らし、電動カートレースの興行を生業としながら、人食いを協力して退治して暮らしていました。
キルコは「思えば この頃が 僕のとっての『天国』だったのかもしれない」と回想します。
ある日、姉が出場する電動カートレースを見に行った春希は、コース上に人食いを見つけます。
第9話 竹早春希
誰かに知らせようとするも、レースが始まってしまい、春希は自分で人食いを追い払うことを決意します。
自作の銃やナイフで戦うも、人食いに食われていきます。
先頭で走ってきた桐子は人食いを見つけて急停車し、後続のレーサーたちを止めますが、そこで見つけたのは弟・春希が人食いに食われている状況。
電動カートを人食いにぶつけ、無理矢理に取り戻すも、春希は半身の状態になっていました。
目を覚ました春希が気付いたのは、自分が姉になっていることでした。
自分を助けた”先生”と呼ばれる医者なら何か分かるはずだと思い当たりますが、すでに”先生”は町を去っていました。
4ヶ月近く経って傷が癒えた春希は稲崎露敏に会いに行きますが、稲崎露敏もまた居なくなっていました。
第10話 クク①
船山孤児院に帰るも、ここももぬけの殻。稼ぎ頭だった竹早桐子が亡くなり、リーダー格だった稲崎露敏も行方不明になったりしたことで、立ち行かなくなったようです。
憧れだった稲崎露敏が死ぬわけがない、そして”先生”と呼ばれている医者なら全てを知っているはずだと2人を探すことにします。
それから春希はキルコと名乗り、旅のボディーガード業を始めて情報を集めている最中、マルと出会ったのでした。
話は現在に戻ります。
この話を人にしたのは初めてだというキルコと、変な振られ方をして混乱するマルですが、とりあえず寝ることに。
乗客の悲鳴で起こされると、魚の形をした人食いに船が襲われていることが分かります。
キル光線で戦うも、魚は水のスーツをまとっていて光線が効きません。同じところに連続で当てることで何とか穴を開けるも、魚はまだ生きていて・・・。
ここで久しぶりに場面は学校へ。
ククはトキオを誘って、赤ちゃんを見にいきます。
第11話 クク②
学校内は多数のカメラやセンサーによって監視されています。
そんな中、ククとトキオが壁をよじ登って配管通路に入っていきますが、その姿はカメラに映っていません。
場面はキルコとマルへ。
キル光線銃は弾切れとなってしまい、水を得られる船外では不利だと思ったキルコは、魚を船内へと誘い込んで戦うことにします。
船内の大量のダンボールに水を奪われた魚はあえなく動けなくなり、マルの手によって殺されます。(マルタッチとキルコが命名)
場面は再び学校へ。
天井裏(?)のような配管の通った通路をククとトキオは進んでいき、目的の部屋に到着します。
ククが”赤ちゃん”と呼ぶのは、手は人間のようですが、顔も足も異様な形をしています。
突然、侵入者検知の警報が鳴り響きます。
第12話 ミーナ
ククとトキオのいる「保育器室1」へ職員の誰かが入ろうとしたとき、「侵入者検知!昇殿室!」の警報が鳴り響いたのでした。
職員たちは初めての警報に驚きながら、昇殿室へと向かいます。
昇殿室には園長がおり、モニター室でも確認したところ侵入の形跡は無いため、誤作動ではないかということになります。
ククはトキオ!と呼び、2人でもと来た通路を帰っていきます。”赤ちゃん”は「トキオ」という言葉を記憶した様子。
昇殿室では園長が、ミーナに「自分の体みたいなものでしょう?」と警報について訪ねます。ミーナはどうやら施設を管理しているAIのような存在のようです。
ミーナは、人間が健康診断で要再検査と通知されても、自分の体のどこがどう悪いのか分からないのと同じだと返答します。
場面はキルコとマルへ。
人食いの魚を退治し、何とか無事に目的地に到着しました。
船員たちに近くの町の場所を聞き、キル光線銃のマークについても尋ねると道すがら残骸が残っている「ミツバ」のマークだと言われます。
道すがらあっさりと「ミツバ」を見つけますが、全然別のマークだったことに笑う2人。
翌日、町に到着します。
第13話 タラオ①
これまでの旅で見つけたCDやゲームを中古屋で売りさばくキルコとマル。
マルがゲームで遊んでいると地元のやつらに絡まれて喧嘩になります。キルコに振られてしまった腹いせか(?)暴れまわるマル。
マルは歯が折れますが「そのうちはえてくるよ」と何でもない様子。「はえねーんだよ 大人の歯は!」とキルコ。
場面は学校へ。
シロはミミヒメからメールで送られてきた写真が消えているのに気が付きます。
ミミヒメに直接尋ねるも、ここ最近シロにメールを送った覚えがないと言われます。
学校の子供達は知識を与えられていないものの、シロはミミヒメに告白めいたことを伝えます。
それを影で聞いていたトキオは走り出し、タラオの元へ。タラオはトキオに何か伝えるも、トキオは走り去っていきます。
トキオの元にコナがやってきてどうしたのかと聞くと、先程のシロやタラオ、キスをするナナキとイワを思い浮かべながら、「最近みんな変なんだ」と答えます。
コナは「人が誰かを好きになるってことは自然な事だよ」と言います。
「それだったらコナがいいな」というトキオ。「僕もトキオがいい」というコナ。
夜になっても興奮するトキオですが、タラオの様態が急変し、トキオと話をしたがっていると呼び出されます。
タラオは「トキオとふたりにして」といって職員を追い出し、トキオに対して「ここから逃げて・・・ここは・・・危ない・・・」と告げます。
「天国大魔境」2巻の考察【ネタバレ】
キルコの正体
1巻の考察で、”姉である竹早桐子の身体に弟の脳みそを移植したのではないかと考えられます。”と記載しましたが、その通りであることが2巻で明らかとなりました。
竹早桐子は弟を轢き殺してしまったと噂になっていましたが、人食いに襲われた弟を助けたというのが正解だったようです。
このエピソードで稲崎露敏と先生についても明らかとなりました。
学校と外の外との関係
この点については進展がありませんでした。
学校の運営と目的
2巻では学校の運営について少し明らかになってきました。
- 学校はミーナと呼ばれるAI(?)によって管理されている
- ククが”頭がない赤ちゃん”と呼ぶもの(人?)が育てられている
1巻の考察では、頭がない赤ちゃんに脳みそを移植しているのかも?と記載しましたが、2巻で実際に赤ちゃんが出てきて謎が深まってしまいました。
というのも、実際の赤ちゃんは、
- 頭がないというより、顔がない
- 足もない
という状態だったからです。
赤ちゃんは部屋に入ってきたトキオに反応していたり、ククが叫んだトキオという言葉を知覚・記憶している様子で、ということはすでに脳みそはあると思われます。
赤ちゃんは何者なのか・・・
ククとトキオが見つからなかった理由
ククとトキオが赤ちゃんを見に行く場面で不自然なことが2つありました。
- ククとトキオが壁をよじ登って配管通路に入っていきますが、その姿はカメラに映っていない
- ククとトキオのいる「保育器室1」へ職員の誰かが入ろうとしたとき、「侵入者検知!昇殿室!」の警報が鳴り響いた
これについて学校を管理しているAIと思われるミーナはしらばっくれていますが、おそらくミーナの意思によるものだと思われます。
カメラに映らない時点ではトキオか子供達の誰かの能力なのかもと思いましたが、警報も作動できるとすればミーナであるとしか思えません。
そうなると、1巻でトキオが受け取った「外の外に行きたいですか?」というメッセージもミーナによるものではないかと考えられます。
トマトは命の象徴なのかも
1巻では、
- トキオはミミヒメから「似ている人が外の外に連れて行ってくれる」ということを伝えられる
- マルは「同じ顔をしたやつに薬を打つ」ことが目的
- 第7話の扉絵ではトマトを挟んでトキオとマルが描かれている
ということから、トキオとマルはクローンなのではないかと考察しました。
2巻の表紙にはトマトをもったタラオが描かれています。
タラオは病が悪化して命の危機に陥っていることから、トマトは命の象徴なのではないかと考えられます。
そうするとやはり、第7話の扉絵ではトマトを挟んでトキオとマルが描かれているというのは、1つの命を共有している存在(クローン)という見方ができます。
「天国大魔境」2巻の感想
1巻では多くの伏線や謎を仕掛けながら早々に世界観を確立させましたが、2巻はややゆっくりしたスピードとなり、よく言えば落ち着いた展開、悪く言えば減速という印象でした。
キルコの正体や過去がはっきりとし、キルコが稲崎露敏や先生(医者)を探している理由も判明したことで、キルコとマル側のストーリーは後は進むだけという感じですね。
一方で、学校側のストーリーはあまり進まず、ミーナや赤ちゃんの存在で謎が深まるばかりです。
最大のポイントである学校と外の外との関係も進まなかったのは残念でした。
全体としては、1巻でも思いましたが、天国大魔境のスゴイところはSFとコメディの混ぜ方にあると思っていて、それは2巻でも健在でした。
壁を登るククに突っ込むトキオや、ネーミングセンスをいじり合うキルコとマルといったシーンの入れ方が絶妙ですよね~。
「天国大魔境」3巻については、2巻の巻末に「次々と露になる学園の秘密」と記載されているので、学校側のストーリーが進みそうですね。
1巻→2巻は8ヶ月でしたので、3巻の発売は2019年11月頃でしょうか?期待大!