『奇界遺産』という世界の不思議な遺産を収めた写真集で一躍時の人となった感のある佐藤健寿氏です。
今回読んだのは、佐藤健寿氏が不思議な遺産を求めて旅するエッセイという感じの『奇界紀行』です。
奇界紀行の内容・あらすじ
世界各地の不思議な遺産を求めて、東京から台湾、アジア、ヨーロッパなどなどを巡る旅エッセイです。日記そのままの体裁をとっている章もあります。
訪れた地は以下の通りです。
台湾
トーゴ
アルゼンチン
マレーシア
インドネシア
アメリカ
フランス
日本
パプアニューギニア
ギリシャ
ミクロネシア
ロシア
トルコ
インド
イタリア
台湾
ウクライナ
ブータン
各地に赴き、遺産を見つけ、面白さを伝え、帰っていくという流れになっています。
文章が主体ですが、挿絵のように写真が挟まっており、実際にどんな遺産なのかも目で確認することができます。
偶然にも最後の章はブータン(といってもすごく短いし、遺産は出てこない)で、前に読んでいた本と繋がりました。ブータンに関しては下の記事の本の方が絶対にオススメです。

奇界紀行を読んだ感想
2つのことを思いました。
まず、文章よりもやっぱり写真が本職なんだろうなということ。
そして、たぶん我々が実際に遺産を訪れても楽しめないだろうなということ。
文章よりもやっぱり写真が本職
これは、作者もあとがきにおいて、『本業は「写真家」だという建前に免じて、どうか乱筆をご容赦頂きたい』と述べていますが、読んでいる最中ずっとそう思っていました。
めちゃくちゃつまらない訳ではないのですが、これが写真なしで文章だけだとしたら、読み進めるのが難しかったと思います。読みながら早く写真見たいな・・・と思ったりしました。
写真は、対象の不思議な遺産の力もあって、とても楽しめます。なんだか分からないけどとにかくヤバそうといったものから、なんじゃこりゃ!といったものまで。
我々が実際に遺産を訪れても楽しめない
それでも文章が意味をなすのは、不思議な遺産の楽しみ方を伝えてくれることにあると思います。
おそらく我々(知識の乏しい者)が実際に遺産を訪れても、こんなには楽しめないと思います。歴史的知識や宗教学的知識がある佐藤健寿氏だからこそ、不思議な遺産を楽しめるのです。
旅と知識を循環させているからこそ、旅を100%楽しめるのでしょうね。
まとめ
文章より写真の方が面白いのですが、文章があるからこそ、不思議な遺産の楽しみ方が分かるという本でした。
本書で取り上げている旅で得た不思議な遺産は、世界遺産の方にも取り上げられているようなので、併せて読む・見るのが正しい使い方のように思いました。