「未来国家ブータン」高野秀行著の感想:ブータンはパラレル・ワールド!【ネタバレ】

前回の「謎の独立国家ソマリランド」が面白かったので、同じ著者の「未来国家ブータン」を読みました。

ソマリランドに比べると危険が無いのでスリルも無いものの、今回は雪男(イエティ)を含めた未知のものを探求するワクワク感があります。

ブータンに行きたくなってしまう本でした。

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未来国家ブータンの内容・あらすじ

著者の高野秀行氏が、知人からブータンの生物資源調査を依頼され、それ自体に興味は薄いものの、未確認生物の目撃談を聞いて俄然やる気を出してブータンへ飛び、調査を行うというストーリーです。

高地のブータン辺境地を高山病に悩まされながらも歩き続ける旅エッセイでもあります。

形式的な目的である生物資源調査、主体的な目的である未確認生物調査が、絡むようで絡まないまま進みながらも、ブータンという国の在り方、ブータン人の性質に迫ります。

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未来国家ブータンを読んだ感想

ブータンはパラレル・ワールド

「ブータンはSFでいうところのパラレル・ワールドだ」という帰結が、とても面白く、納得感のあるように思いました。

様々な発展途上国が欧米諸国を真似して近代化に突き進む中において、ブータンだけは特異な方向へと歩んでいることを端的に示していると思います。

伝統保護、環境保護、生物多様性、人権優先といったキーワードは、先進国が今直面している問題でありながら、近代化の周回遅れにいるブータンが実践してきたものなのです。

ブータンが後進国なのか先進国なのか判然としなくなり、まさに、パラレル・ワールドという指摘は腑に落ちました。

読み進めると楽しめる冒頭の写真たち

文庫本の冒頭(目次の前)には、写真が種類別に掲載されています。

道、仲間、山里、人、食、酒、信仰、雪男。

これらは最初はふーんと思っただけだったのですが、読み進めると意味が分かってきて、写真もすごく楽しめます。

毎回読書を始める前になんとなく眺めて、こないだ読んだのはこの写真か~という楽しみ方をしていました。

旅行したくなるがお金がかかる

作中でも紹介されていますが、半鎖国的なブータンでは、旅行は事前に国に申請する上、ガイド料として1日200ドルがかかるそうです。

旅行を検索してみても、1週間で30万円程度と、アジアへの旅行と考えるとかなりお金がかかる部類になると思いました。

本を読むとぜひブータンに行ってみたい!という思いになりますが、かなりコスト高のようです。

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まとめ

高野秀行氏の本を続けて2冊読みましたが、面白いです。

旅が好きな方には絶対にオススメできます。

世界でいちばん幸せな国と持て囃され、国王が来日したときには盛り上がったブータンですが、最近は特に何も聞こえてこなくなりました。

メディアの報道は表面的なものでしかありませんし、ブータンにちょっとでも興味がある方も、この「未来国家ブータン」を読んで、ブータンについてもっと知ってみると良いと思います。