「銃・病原菌・鉄(下)」ジャレド・ダイアモンド著の感想:上巻と比べると見所は少ない【ネタバレ】

2000年に発売されて結構なベストセラーとなった本書。文庫本は2012年の発売です。

下巻も読み終えました。

上巻についてはこちらに記事にしています。

「銃・病原菌・鉄(上)」ジャレド・ダイアモンド著の感想:歴史の授業をやめて本書を読ませるべき【ネタバレ】
2000年に発売されて結構なベストセラーとなった本書。文庫本は2012年の発売です。紀元前の歴史については、色々なゲームのネ...

上巻でほぼほぼの結論が出てしまっていますので、下巻は冗長な感じがあります。それでも面白いところがいくつかありましたのでご紹介させていただきます。

スポンサーリンク

「銃・病原菌・鉄(下)」という本の目的

上巻の目的のおさらい

『ヨーロッパが大航海時代に、(ヨーロッパ人にとっての)新大陸を発見し、そこを植民地化しました。それが現代の状況に繋がっていると言えます。

アメリカ先住民や、南米アステカ帝国・インカ帝国や、オーストラリアのアボリジニーたちは、ヨーロッパを発見して植民地化する、という歴史にはなりませんでした。

そのような状況を生み出した原因は何か?に迫るのが本書の目的です。』

というものでした。

下巻の目的

上巻でたどり着いた結論としては、メソポタミア地方において、

  • 食料生産に適した野生種が自生していた
  • 家畜となりうる大型哺乳類が多く居た
  • ユーラシア大陸は東西に長く、農業に関する知識や品種が伝達しやすかった

という理由により、狩猟採集よりも食料生産の方が効率が良いため、食料生産が進んだことが究極の要因というものでした。

この究極の要因が、銃・病原菌・鉄という直接的な要因につながり、ヨーロッパが南北アメリカやオーストラリアを植民地化することになります。

ということで、上巻でほぼほぼ本書の目的は達せられたと思いますが、下巻ではそれを時間的、地域的に掘り下げるというのが目的となっています。

つまり、時間的掘り下げとして、究極の要因から銃・病原菌・鉄までの繋がりの中間地点を明らかにしています。それは、文字であり、発明であり、社会構造です。

また、地域的掘り下げとして、ヨーロッパ対南北アメリカやオーストラリアだけではなく、オーストラリアとニューギニア、中国、太平洋の島々、アフリカと、世界中の歴史を考察します。

本書をオススメしたい人

上巻だけ読めば十分といえば十分ですので、無理をして下巻を読む必要はありません。

そのため、上巻に非常に興味を持ち、少しでも本書に関する知識を補足したいという方にのみ、下巻をオススメします。

「銃・病原菌・鉄(下)」の主な内容

第3部 銃・病原菌・鉄の謎(上巻からの続き)

上巻では病原菌についての解説がなされました。

下巻では残りの、銃と鉄についての解説となります。といっても直接的に銃と鉄について解説するわけではなく、銃と鉄が扱えるような技術力をどうやって獲得したかという話です。

それは、文字であり(第12章)、発明であり(第13章)、社会構造(第14章)であるということです。

結局のところ、上記の3点はどれも、人口が多ければ多いほど人類は進歩してきたという結論になります。そしてその人口を支えられるだけの食料生産が可能であったか否かという点がポイントです。

社会構造のところは特に興味深かったです。

人口が少ない社会では全員が顔見知りであり、血の繋がりもある状態であるため、揉め事は起こりにくく、起こっても周りが沈静化してくれます。

しかし、人口が多くなると、顔見知りでない他人が大きく増えます。こうなると揉め事が頻発し、沈静化してくれる人もいません。そこで登場するのが、宗教であり、法であり、階級です。そして現在の国家のようなものが生まれてきたのです。

第4部 世界に横たわる謎

地域的掘り下げとして、ヨーロッパ対南北アメリカやオーストラリアだけではなく、オーストラリアとニューギニア、中国、太平洋の島々、アフリカと、世界中の歴史を考察します。

この部は特に冗長感があり、面白みに欠けているように思いました。

それでも、これまで触れられていなかった、中国やアフリカに関する章も出てくるところが面白い点だと思います。

エピローグ

ここでは、メインは著者の歴史科学に対する姿勢のようなものが語られます。さらに今後研究すべき対象についても言及されています。

その中で、なぜ中国ではなくヨーロッパが主導権を握ったのかについても、今後の研究対象とされていますが、その入口として少し解説されています。

西暦1,400年ごろまで、中国はヨーロッパよりも先行していました。火薬や活版印刷など様々な技術は中国で生まれ、ヨーロッパに伝えられたことは中学校の歴史でも習ったと思います。

その後に、中国ではなくヨーロッパが覇権を握ったのは、一言でいうと多様性でした。良くも悪くも中国は1つの大国として統一されていました。一方のヨーロッパは様々な小国がひしめき合っていました。

中国は鄭和の南海遠征でアフリカの東岸までたどり着いた後、政治的にそれに反対する勢力が権力を握り、その後の遠征が中止となってしまいました。日本でいう鎖国のような状態になったのです。そのため、航海術や技術の発展が止まってしまいました。

一方でヨーロッパではスペイン、ポルトガル、イギリスと小国が競うように遠征に出る大航海時代を迎えます。それにより航海術や技術が発達し、南北アメリカを発見し、植民地化するという歴史が生まれます。

この点はずっと気になっていたので入口だけでも書かれていて良かったです。

個人的な感想

上巻と比べるとインパクトが少なく、冗長な感じがありました。

それでも所々、なるほど、と膝を打つところもあり、下巻を読んだことも満足しました。

上巻を読んでいる間、結論は分かったけれど、なぜヨーロッパであって中国ではなかったんだ?という疑問がありました。それがやっとエピローグで説明があり、読んだかいがあったと思いました。

私は学校の勉強でいうと理系の人間ですが、歴史を学ぶことに今更ながら興味を持っています。本書の著者も医学部からキャリアをスタートしている理系ということもあって、理系の読者が歓迎するような本に仕上がっていると思いました。

歴史に興味がある方、特に理系の方はぜひお読みください。↓からAmazonのレビューもチェックしてみてくださいね。

スポンサーリンク
オススメの記事
オススメの記事
  • このエントリーをはてなブックマークに追加